OUTLINE プロジェクト概要
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PROJECT DATA
プロジェクトデータ
【テーマ】 酒造メーカーの原料生産分野におけるAI・センシング活用の検討
【検討開始】 2025年12月
【現在のフェーズ】構想・課題整理・技術調査・提案内容の再設計
【関係者・連携先】
酒造メーカー、大学研究室、センサー・通信分野のパートナー企業、株式会社シーフォース
【シーフォースの担当領域】
顧客課題の整理、提案設計、技術・市場調査、大学へのヒアリング、論点整理、連携先の検討
【社内体制】
代表、ITソリューション事業部、ERP事業部による事業部横断チーム
※企業名、大学名、研究者名、対象となる農作物、顧客固有の課題などは非公開としています。本記事では、受注前の「構想段階にある取り組み」として紹介します。 -
Interviewee(回答者)
I.Kさん(ITソリューション事業部マネージャー)
【2020年5月株式会社シーフォース入社】
2001年にIT業界へ入り、携帯向けサイトや基幹システムの開発・運用、ネットワーク・サーバーの構築、大規模なマスタデータの運用設計などを経験。チームリーダーとして、業務設計、ツール化、メンバー教育にも携わってきました。約4年間の米国生活を経て、2020年にシーフォースへ入社。コールセンターの業務改善、訪問介護の実績集計システム、全国の牧場で利用されている牛の健康管理システム、契約書精査に関するAI開発など、業界を横断した案件を担当しています。
現在は複数の顧客案件でPM・元請管理を担い、課題ヒアリング、提案、見積、開発、運用までを一貫して支援。AIを活用した業務プロセスの再設計にも取り組み、2025年7月にはG検定を取得しました。
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なぜ、IT会社がお酒の「製造」ではなく「畑」に目を向けたのか?
お酒は、原料となる農作物が収穫できなければつくることができません。
農業の生産現場では、担い手の高齢化や生産環境の変化など、さまざまな課題があります。原料を将来にわたって安定して確保することは、生産者だけでなく、酒造メーカーにとっても中長期的な経営テーマです。
今回の接点は、シーフォースが別のテーマで酒造メーカーを訪問し、原料生産に関する取り組みを見学したことでした。
その現場を見たことをきっかけに、「シーフォースが持つAIやシステムの知見で、何か支援できないだろうか」と考えました。
酒づくりの工程だけではなく、その手前にある原料生産へ目を向ける。商品が完成するまでの流れ全体を捉え、上流の課題にITを活用できないかを検討しています。
酒造メーカーとの取り組みでありながら、出発点が農業にある。この意外な組み合わせが、今回の特徴です。 -
AIもセンサーもある。それでも農業現場の課題が解けないのはなぜか?
農業現場を支える技術が、まったく存在していないわけではありません。
環境を計測するセンシング技術、画像・データ解析、AIによる予測など、さまざまな研究や開発が進んでいます。しかし、それらがそのまま生産現場の日々の判断に使われているとは限りません。
大学には研究知見がある。技術企業にはセンサーや通信の技術がある。生産現場には長年蓄積された経験がある。そして酒造メーカーには、事業として実現したい目的があります。
これらが別々に存在しているだけでは、一つの仕組みとして現場へ届けることはできません。
今回の目的は、散らばっている技術や知見を束ね、実際の生産現場で使える形へ変えることです。
さらに、誰が運営し、誰が費用を負担し、誰が便益を受け取るのかまで設計しなければ、技術は現場に定着しません。
シーフォースは、単にAIやセンサーを導入するのではなく、企業、大学、技術パートナーの考えを一つの事業設計へ翻訳し、現場と顧客の双方へ価値が返る仕組みをつくろうとしています。 -
「誰もが一定の精度で判断できる農業」は、本当に実現できるのか?
将来的に目指しているのは、生産現場の環境データと農作物の状態がつながって見える状態です。
限られた熟練者だけでなく、データやAIの支援によって、誰もが一定の精度で状況を捉えられるようにする。現場の経験を置き換えるのではなく、変化の兆候や確認すべき場所を示し、人の判断を支えることを目指しています。
一方で、理想だけでは現場へ導入できません。
研究で利用される高性能な観測機材は、価格面から多くの生産現場へ広く導入することが難しい場合があります。
そこで最初に確かめたいのが、
「現場で手の届く価格帯の機材とAIを組み合わせ、実用に足る水準まで持っていけるのか」
という点です。
精度だけでなく、価格、運用方法、使いやすさまで含めて成立する可能性が見えれば、PoCや実証など、次の段階へ進むことができます。
現時点では、採用する技術や開発するシステムは決まっていません。顧客の意見を受け、課題の捉え方や提案の切り口を見直している段階です。 -
「その切り口は、他社からも聞いています」――一度刺さらなかった提案を、どう立て直すのか?
新しい取り組みは、最初から順調に進むとは限りません。
シーフォースでは、顧客から伺った内容をもとに技術や市場を調査し、大学の研究知見や外部技術を組み合わせた提案を行いました。
しかし、顧客から返ってきたのは、
「その切り口は、すでに他社からも聞いています」
という率直な意見でした。
自分たちが時間をかけて考えた内容でも、顧客にとって新しい価値でなければ、提案としては十分ではありません。
今回のような構想段階では、決められた要件に対して開発するのではなく、「そもそも何を課題とするのか」「シーフォースが関わる意味は何か」から考える必要があります。
現在は、最初の提案に固執せず、顧客が本当に求める価値と、シーフォースだから提供できる役割を改めて整理しています。
新規事業やゼロからの案件づくりでは、最初の仮説が外れることもあります。重要なのは、自分の提案が違っていたと分かったときに、いったん捨て、顧客の声からもう一度組み立て直すことです。
この試行錯誤も、答えのない仕事を形にしていく過程の一部です。 -
酒造メーカー、大学、技術パートナー。シーフォースは、その間で何をつないでいるのか?
今回の取り組みには、酒造メーカー、大学の研究室、センサーや通信分野の技術パートナーなど、異なる専門性を持つ関係者が参加しています。
それぞれの専門性が高い一方で、使う言葉や重視する成果は異なります。
シーフォースの役割は、その間に入り、研究や技術を顧客の課題、現場での利用、検証、事業化へとつなげることです。
I.Kさんは、次の業務を担当しています。
・顧客課題を踏まえた提案設計
・技術・市場リサーチ
・先行サービスの分析
・大学研究室へのヒアリング
・研究者との打ち合わせの司会進行
・議論すべき論点と検証内容の整理
大学の研究成果も、顧客の課題や実際の利用場面と結びつかなければ、現場へ届けることはできません。
どの技術を使うのか、誰が運用するのか、どの程度の費用なら成立するのか。専門家の知見を、実際に使われる仕組みへ変換する必要があります。
社内でも、代表、ITソリューション事業部、ERP事業部のメンバーが事業部を越えて参加しています。
シーフォースが担っているのは、決められたシステムを開発することだけではありません。顧客、大学、技術パートナーをつなぎ、検証や事業の形へ落とし込む橋渡し役です。 -
仕様書も受注もない。「案件になる前」から関わる仕事に、どんな面白さがあるのか?
一般的な常駐支援では、参画する時点で開発内容や担当範囲がある程度決まっている場合があります。
一方、今回の取り組みでは、何をつくるかも決まっていません。そもそも、システム開発が最適な解決策なのかも、これから確かめていく段階です。
そのため、社員は開発工程だけでなく、案件が形になる前から関わります。
・顧客の話を聞き、課題を整理する
・業界や市場、必要な技術を調べる
・大学の研究者や技術パートナーと議論する
・先行事例や競合サービスを分析する
・仮説を立て、提案へ落とし込む
・PoCや事業モデルを考える
何も決まっていないからこそ、自分の調査や発言によって、取り組みの方向が変わります。
調べても答えが見つからない。考えた提案が顧客に刺さらない。技術的には可能でも、価格や運用の面で成立しない。そのような難しさもあります。
それでも顧客や現場の声へ戻り、仮説を組み直しながら前へ進めることが、案件になる前から関わる仕事の面白さです。
身につくのは、特定の技術だけではありません。顧客折衝、課題設定、技術調査、PM・PMO、産学連携、PoC、新規事業、サービス企画などへ、キャリアの幅を広げることができます。
シーフォースはSES事業も展開していますが、社員が関われる仕事は常駐支援だけではありません。
既存システムを安定して支える案件もあれば、顧客の相談段階から入り、新しいサービスや事業を考える仕事もあります。一つの業界や工程に限定されず、技術、顧客折衝、プロジェクトマネジメント、事業開発へと役割を広げられることが、シーフォースで働く面白さです。 -
答えのない仕事を、面白がれる人と。
今回のような取り組みに必要なのは、最初からすべての答えや技術を持っている人ではありません。
知らない業界に関心を持ち、自分で調べられること。
現場や専門家の話を、先入観なく聞けること。
自分の仮説が違っていたら、固執せずに考え直せること。
技術の先にいる顧客や利用者の価値を考えられること。
そして、仕様書も正解もない状況を面白いと思えること。
今回紹介した取り組みは、まだ完成した成功事例ではありません。顧客の意見を受けながら、提案を組み立て直している最中です。
しかし、プロジェクトは受注した瞬間に突然生まれるものではありません。
顧客の課題を知り、必要な技術を調べ、専門家と議論し、提案が届かなければもう一度考え直す。その先に、新しいプロジェクトや事業があります。
お酒づくりを支える農業の現場へAIを届ける。
大学の研究知見と企業の課題をつなぐ。
技術を、実際に使われる仕組みや事業へ変えていく。
シーフォースで関われるのは、すでに決められたシステムを開発する仕事だけではありません。
業界や部署の境界を越え、まだ存在しない仕事をつくる。
答えが決まっていないからこそ、自分の考えと行動が、その未来を変えていきます。


